和菓子のお教室をはじめさせて頂いて早や13年になります。
たくさんの美味しいお菓子、珍しいお菓子に出会いました。
そんなお菓子の思い出やエピソードを、少し… お話したいと思います。

 

◆ 2011年 7月  竹流し

今月末に行う朝茶事のお菓子を「竹流し」に決めていました。 20数年前、私が生まれて初めて体験した朝茶事の折に出されたのも、この「竹流し」でした。 たっぷりと水を打たれた露路の腰掛けで、籠に盛られ冷た〜く冷やされたこの竹流し水羊羹を頂いた時の、あの清々しさ、あの感激は忘れられません! (実はコレを書いている今は8月に入っています。 ゴメンナサイ…)

京都では色んなお店が細い青竹に流した水羊羹を作り販売していますが、神戸にコレを用意してくれるお店はそごうの地下にある「仙太郎」さんだけでした。 お味見をして… 案外アッサリして… これなら京都から取り寄せる必要もないかぁ〜と、予約しました。 普段「仙太郎」さんには茶席に使える菓子は少なくて、私には馴染みのないお菓子屋さんでしたが手近で間に合って助かりました! 

この「竹流し」 裏千家では認得斎好みの「錦玉糖」のものと、玄々斎好みの「水羊羹」があります。 今では専ら「水羊羹」が主流ですね。。。

「夏は涼しく…」の言葉通り、見た目の清涼感と冷たい食感が何より大事かと思います。 夏の朝茶事の折には空気の流れの悪い茶室よりも外の涼しい風を感じながら「お菓子をどうぞ」という事で、先述の通り、席中ではなく露地の腰掛けでお菓子をお出しすることがあります。 お客様にお出しする時に絶対に忘れてはならない事は、底に穴を開けておくことです。 この空気穴がなければ 羊羹は絶対に竹から出て来ませんから… お客様にご迷惑をかけてしまう事になります。

               

時折…目の覚めるような緑色をしたプラスティック製の竹に流した水羊羹を見かけますが、あれはチョッといただけませんね。 興ざめです。 その日限りの贅沢、青竹が良いのです!(もっとも茶会は全てが、その日限りですが) 蓋にしている笹の葉の香りもご馳走のうちですね。