和菓子のお教室をはじめさせて頂いて早や13年になります。
たくさんの美味しいお菓子、珍しいお菓子に出会いました。
そんなお菓子の思い出やエピソードを、少し… お話したいと思います。

 

◆ 2011年 2月  夜の梅(虎屋さんの羊羹)

お教室で「先生のお好きな和菓子は何ですか?」と、よく質問されます。 私の答えはずっと変わらず「虎屋さんの《夜の梅》です。」と、即答です!(笑) どなたもそうでしょうが「羊羹」は子供の頃には決して好きなお菓子ではありませんよね。 大人になって始めて、その滋味深い味わいが理解できるようになるお菓子だと思います。 我が家では東京の伯父からの手土産がいつも大きな虎屋さんの羊羹の詰め合わせでした。 今思えば贅沢な話ですが、子供心には「ケーキが良いなぁ〜!」と思ったものです。

私の和菓子作りは京都でのお菓子を真似ることから始まっています。 虎屋さんに限りませんが「羊羹」を真似る、作ることは、とても困難です。 つまりは、じっくり煉り込んで作るあの濃厚な深い味わい、それでいてしつこくない上品な甘さを素人の私が表現することは不可能なのです。(笑) 作りたくても… 決して真似のでき ない和菓子です。 天下の虎屋さんの羊羹を真似ようなんて… そんな大それた、不届きな事を考えているわけではありません!!!(笑)

                  

《夜の梅》とペアで入っているのが《おもかげ》〜黒糖の羊羹です。 子供の頃には、この黒糖の風味がさらに苦手でしたねぇ〜。(笑) 我が家ではこの《おもかげ》は 、一口サイズに切ってきな粉をまぶし干菓子にして使います。 京都の師匠の直伝?ですが、きな粉と黒糖の風味が良く合って… これはなかなか美味ですよ。 虎屋さんの《おもかげ》との組み合わせがベストですが、甘〜く感じる羊羹があればきな粉をまぶしてみて下さい。 甘さが抑えられて良いですよ♪ ただ、まぶしてから時間が経つときな粉が水分を吸って少々汚らしく見えますので、香りの良さ の点からも… まぶして直ぐ!がお奨めです。

また、羊羹を包んである竹の皮も大事に取ってあります。 こちらは煮魚に欠かせません! 魚の皮がくっつかないように… 細かく裂いて鍋底に敷いて使います。 とても重宝しています。