和菓子のお教室をはじめさせて頂いて早や13年になります。
たくさんの美味しいお菓子、珍しいお菓子に出会いました。
そんなお菓子の思い出やエピソードを、少し… お話したいと思います。

 

◆ 2010年 12月  どら焼き 

先月末からの東京での和菓子教室で、「どら焼き」のレシピをミスプリントし… 初日の午前のクラスの皆様に大変申し訳ない事をしてしまった反省は日記にも書かせて頂きました。 東京教室での「どら焼き」の人気が絶大で皆様の期待が大きかっただけに… 大きな後悔となりました。

東京では、教室でお願いしているアンケートの中の【好きなお菓子】や【作ってみたいお菓子】に、「どら焼き」と記入される方がとても多いです。 現に、今回の東京教室はアッという間に満席となってしまいました。 同じ質問に、神戸では… 「どら焼き(三笠)」は、まず登場しません。 以前、「豆大福」の時にも同様の事を書きましたが、これは和菓子という物の捉え方の違いだろうと思います。 「大福」や「どら焼き」は和菓子と言うより“おやつ”と呼びたい感覚です。

また、関西には《うさぎや》さんや《亀十》さんやのように「どら焼き」で突出した人気を誇るお店も見当たらないように思います。 やっぱり「三笠」の方が馴染み深いですね。 《文明堂》さんの「三笠と栗まんじゅう」の詰め合わせは、手土産として… 子供の頃によ〜く頂いた懐かしいお菓子ですし、奈良に行くと大っきな大っきな「三笠山」を目にします。 今回、東京の皆さんも「う〜ん、文明堂のはどら焼きとは言わないわね…」と、仰っておられました。 「どら焼き」と「三笠」の違いは本当のところ、良く分かりませんね。 「どら焼き」の名称を主流にしたのは、かの“ドラえもん”らしいですよ。。。(笑)

「どら焼き」の名称については銅鑼の形に似ているから、銅鑼を用いて焼いたからの2説ありますが、その起源は弁慶の逸話にまでさかのぼり… 定かではないようです。 前者はもちろん納得ですし、はっきりと後者の説を謳っている京都の《笹屋伊織》さんの「どら焼き」があります。 棒状の餡を芯にして、クレープのように薄く焼いた小麦の生地をクルクルとバームクーヘン状に巻いた、筒状のお菓子です。 つまり、これは同じ「どら焼き」という名称の別のお菓子です。 

たかが「どら焼き」、されど「どら焼き」… 生涯忘れられない苦い思い出のお菓子になりました。。。