◆  ありがとうございました / 2010.  8. 9 〜 11

今年で13年目に入っていた「おもてなし料理」のお教室を、今月で閉じました。 最後のお教室を迎えた朝、実にすっきりとした私の気持ちと同様に空は雲ひとつない晴天でした。 今、お越し頂いている皆様にはその旨を6月にお伝えしました。 突然の事にて皆様には心から申し訳なく思っています。  決して俄かに生徒さんが激減した訳でもなく、食中毒のような事故を起こした訳でもありません。 私の身勝手な都合によるものです。 実は私の中では「今年いっぱいで…」と年頭には決めていた事でした。 古い方々には重なる事を承知で“これだけは伝えておきたい 料理”を、1月から毎月秘かにメニューに組み込んでいました。 

様々な理由があって「今年いっぱいで…」という思いに至りました。 「広げ過ぎたお店と屏風は必ず倒れる」 料理教室の生徒さんGさんの教えてくれた名言です。 このままでは私が倒れるか、中途半端に なりつつある料理教室が倒れるか、どちらかだ! 倒れてしまう前にきちんとたたまなければ…  そうした思いがありました。 この場所でお茶を始めた事が「広げ過ぎた」 事になりました。 場所柄、夜のお稽古や土日のお稽古が忙しくこれまでのように料理教室の為に食べ歩いたり、学んだ料理を自分なりに納得のいくレシピに配合を変えたり、他所の教室に習いに行ったり… そういう時間が全く取れなくなってきていました。  今年一年で伝えたい物を伝えたら閉じよう! そう決めていたのです。

春に5度目のギックリ腰をやり、年齢的にも限界が来ていることを知らされた気がしました。 体調が悪いわけではありませんが、予定を4ヶ月早めました。 物事の始まるお正月に閉じるより、誰もが 少々気持ちのだれる夏に閉じる方が気が楽でした!(笑)   

私にとって「料理教室」は大切なライフワークでした。 松島先生との出会いがあり好きだった「料理」に目覚めました。 料理教室=お人に料理を伝えることの楽しさや難しさを教えてくれ、背中を 押して教室をする事を勧めて下さったのも先生でした。 先生の全てのレシピを譲り受けていたのに、残念ながら私はそれを譲る先を作る事はできませんでした ね。 先生には前回の東京教室の前にお手紙を書きました。 とても残念だと。。。 毎月、私のレシピを楽しみにして下さっていた先生にも少なからずショックを与えて しまいました。 申し訳なく思っています。 この世界に導き、ずっと応援して下さった先生に心からお礼を申し上げます。 

今年は色んな意味で節目の年でした。 父に茶道の手ほどきを受けはじめて40年、学園入学から30年、教授を頂き10年です。 そしてなんと誕生日には50歳になってしまいます。(苦笑) 「お茶に帰ろう」 心に決め、今年、プライベートの年賀状にもそう書きました。。。

最後となったこの3日間のお教室は、やはり感慨深いものがありました。 教室の年齢層は高く、優雅な奥様ばかりでした。 そんな中、唯一の若いお嬢さんだったSさんから「ありがとうございました」と 、Sさんが作って下さったプリザーブドのお花を頂きました。 Sさんらしい優しい色使いが心に沁み、有難く嬉しく頂戴しました。 そのSさんのいる月曜日のメンバーは早速10月に食事会を決め、我々3人をお誘い下さり「これからも時々会いましょうね…」と。 火曜日のメンバーはそれぞれお茶や和菓子 にもご参加下さっている方ばかりで、お互いに「さよなら」という気はなく…我々も気持ちが楽でした。(笑) 水曜日チームは料理を作る事に熱心な方が多くおられました。 食べ歩きも熱心です。 なんと「KIYOSHI会」と命名して教室のあった第 2水曜日に「食べ歩きの会」を作り、今後はみんなで美味しいものを楽しまれるようです。 

会えなくなるのは淋しいから…と、和菓子やお茶の教室へ通って下さるという方も出てきて…本当に有難いことと思っています。 “先生”と呼ばれつつ私の方が皆さんに教えて頂くこと、気付かせて頂くことが沢山ありました。 皆さんに育てて頂いた私でした。 世の中には料理本が溢れ、ネットを開けば何でもレシピが手に入ります。 プロの料理人が開くお教室も随分増えました。 そんな中で私の元にお通い下さった皆様とは、本やネットでは伝わらない「人と人との温かい交流」が持てた事を心から幸せに思っています。 長い間、本当にありがとうございました。 これまでお教室にご参加下さった全ての皆様に心から感謝申し上げます。

 

◆  種蒔き / 2010.  8. 5

お蔭さまで三宮でのお茶の生徒さんが増えています。。。

今日、久しぶりに広島の親友Mちゃんと電話で話をしました。 彼女も高校で茶道部の顧問を引き受け高校生たちに「茶の精神」を伝えています。 裏千家学園を卒業後、大学に入り直して教職に就いた彼女が若い生徒たちに「一期一会」の心を伝える事を始め たのは数年前の事です。 Mちゃんのブログを通じ、Mちゃんと生徒さん達のお茶への取り組みを楽しみに読ませてもらっていました。 若い高校生たちが素直にそれを吸収し… 卒業時には各自が見事に「一期一会の精神」を自分のものにした様子は“感動もの”でした。

電話で互いの近況を話すうち、当然「お茶の話題」になります。 「お蔭さまでね、私も娘のような若いお嬢さん達に囲まれて楽しくやってる…。 でも、 時間がかかってなかなか大変〜〜〜! 笑」と私が言いました。 茶道は間口が広く奥も深い! 何も知らない人達に最初からお茶を教えるのは難しいものです。 入り易い“入口”は皆違います。 出来るだけその人に合った入口を見つけ、その入口を少しずつ広げ更に奥へと進む道を付けるのです。 育み教え理解を得るまでにはかなりの時間を要します。

Mちゃんから返って来た言葉に衝撃を受けました! 「私たちは今、お茶の種蒔きをしてるのよ。 種蒔きって楽しいよね? どんな芽が出てくるのか…。 しっかり水をあげて肥しを与えて一生懸命育てようよ!」 なるほど、種蒔きかぁ〜。 学園の門をくぐって30年になります。 同級生の中には立派な花や実の剪定ばかりをしている人も大勢います。 「私だって剪定も出来るのに…」私の中のどこかにそうした気持ちがあったのです。 己の慢心を恥じました。。。 そして、畑どころか狭い狭い自分の花壇 ばかりを気にしていた私自身の器の小ささも恥ずかしいです。。。 お茶の種蒔き〜大きな仕事をさせてもらっていることを忘れていました。

狭いながらも私の花壇にも、きれいな花やしっかり実をつけた木もあります。 少し枯れそうな子もいますし、なかなか延びて来ない小さな芽もいます。 蒔いたばかりの種もたくさんあります。 賑やかな素敵な花壇です!(笑) 皆さんにしっかり育って頂くためには土壌(つまり私)が、肥えていなければいけませんね。 土作りもしっかりやらねば・・・! せっせと 土を耕し種を蒔いて、きれいな花を咲かせ、しっかりした実が実るよう… 励みたいと思います。 Mちゃん、素敵なメッセージをありがとう。。。 

 

◆  母の夏バテ / 2010.  8. 3

電話の先の母の声に元気が無く、様子が変です。 最近の暑さの為に… どうも、お昼は簡単に「冷やしそうめん」で済ませ、好物のトマトや桃ばかりを食べて過ごしているようです。 「ちゃんと食べてる?」と聞くと「食欲がない。この暑さだもの…」と沈んだ声の返事が帰ってきました。 やっぱり・・・ 冷たいものと甘いものしか口にしていないのです。 

なのに「夕方、ヨーグルトを持って行く」と言うではありませんか…。 「いい…。 私が取りに行くから…。」 夕食の支度をしてから実家に戻り、母とヨーグルトを乗せて車で教室に。 食欲の無かったはずの母は夕飯をペロリと平らげ 、私は再び実家に母を送りました。 全くお世話の焼けることです! 食欲が無いというよりは、きっとこの暑さで買い物や作る手間が“しんどい”のでしょうね。 困ったものです。。。 苦笑

 

◆  あっぱれ!! / 2010.  8. 2

今年は本当に暑いです! 梅雨明け後の暑さは異常ですね。。。

今日は午前中「立礼のお稽古」がありました。 「立礼」には正座が苦手、あるいは膝や足が悪くて正座が出来ないという方が、ご参加下さっています。 その中に日本で生まれ育った中国人のRさんがおられます。 お祖母様が日本人とのことですからクォーターですね。。。 正座は苦手、でも日本の茶道を知りたいと、とても熱心にお稽古に通って下さっています。 

今朝、そのRさんに「今年の夏は暑いですねぇ〜」と何とも月並なご挨拶をしたら、「はい、暑いです。 お年寄りたちも皆さん「長く生きて来たけど、こんな夏は初めて」とか言われるけど… 夏は暑いものだし、 私は昨日の事も覚えていないから去年の暑さは忘れましたぁ〜」とニッコリ微笑まれました。 

あっぱれ!! 参りました。。。 
その通りですね! この暑さを単に夏として受け止めれば… 何て事はないのですね! 「今年は格別に暑い!」などと、過去の気温を比べる対象にしなければ良いのだと気づかされました。 さすが大陸的? おおらかな考え方に妙に感動してしまいました。 その日の暑さはその日のうちに忘れたいものですが… 「夜も暑い !!」と皆さんのお声が聞こえてきそうです。(笑)