和菓子のお教室をはじめさせて頂いて早や13年になります。
たくさんの美味しいお菓子、珍しいお菓子に出会いました。
そんなお菓子の思い出やエピソードを、少し… お話したいと思います。

 

◆ 2009年 10月  月にちなむお菓子 〜 月餅 

月にちなむお菓子 、和菓子ではありませんが満月にちなむお菓子に中国の「月餅」がありますね。 焼き菓子で外の皮は「栗饅頭」のようで中身はラード(最近はサラダ油)の入った独特の漉し餡や木の実の詰まったもの、黒胡麻や蓮を練り込んだものなどです。 私は神戸ですので… 子供のころ、 手土産にこの「月餅」を頂く機会も多かったのですが、あまり好きなお菓子ではありませんでした。 中華街などでは年中見かけるお菓子ですが、本来はやはり仲秋(陰暦8月)の頃に作る行事のお菓子なのだそうです。

今年の中秋(陰暦8月15日)である10月3日にはまだ東京に居た為、そうそう…と思って新宿の中村屋さんに寄ってみました。 中華料理店ではないこのお店の「月餅」が何故こんなに有名なのか ?いつも不思議です。 さらには日本一のデパ地下?新宿・伊勢丹にしかない《円果天》という「月餅」の専門店〜中村屋さんのブランド店にも立ち寄りました。

中村屋さんのいわゆる「月餅」は木の実の詰まったもので、 中秋の限定商品には可愛い兎の刻印の型で焼かれていて、白餡、漉し餡の2種類が用意されていました。 円果天さんの方は全部で10種類の中 餡のバリエーションがありました。 こちらの中秋限定は鶉の卵の入った物でした。 季節ものとしては刻んだ栗を加えたものがありました。 笑ってしまったのはお値段です! 倍ほどの大きさのある 中村屋本店のものの方が、可愛くて小さいブランド店・円果天さんの半分なのですよ! 確かにお味も違いました。。。(笑)  失礼ながら「値は値」という事のようです。 「卵を たっぷり使いましたよぉ〜」というような風味の良さです。

ブランド店・円果天さんには他に「白い月餅」というのがあります。 このお店が出来た当初に東京の生徒さんから頂いたことがあります。 もちろん新宿・伊勢丹限定商品です。 今回の食べ比べは本来の焼き菓子に限定!ということで… 除外です。(笑) それにしても… 同様に中国に起源を持つ 端午の節句の「粽」のように、「月餅」は何故ゆえ中秋の行事菓子 として定着していないのでしょう? 日本での仲秋の行事菓子が「月見団子」になっているのかが不思議です。 焼き菓子の文化が遅れていたのでしょうか? 中国本土では仲秋の行事菓子の扱いである「月餅」が、日本では一年中口にすることができるもの面白いですね。